闘病記パート19「涙の報告」

闘病記パート19「涙の報告」

2019/2/12(~手術後)

手術室から病室へ

手術が終わり、

マツモト先生(仮名)が

「終わりました。

一応これだけ腫瘍が

取れました。」

と見せてくれたのが

ビニール袋に

水と20個ぐらいの

赤い粒粒。

その後、

「では退室させてください。」

とベッドを動かされながら

部屋に戻ります。

廊下を天井を見上げながら

下半身が動かない状態で

看護師さんたちに

ベッドを運んでもらってました。

テレビなどでよく見るシーンですが

(天井を見ながら移動する景色)

を初めて体験しました。

部屋に戻りましたが

妻はまだいません。

その間に看護師さんが

いろいろと後片付けを

してくれていました。

5分後ぐらいに

後片付けが終了し、

妻が入ってきました。

涙の報告

「お疲れさん。

終わったね。」

麻酔が効いているせいか

まだ頭がぼーっとしている。

「足はまだしびれる?

だいたい4,5時間ぐらいで

動かせるようになるよ。」

「でも、動かせたとして

まだ尿道から管(カテーテル)

があるんでしょ?」

TURBTの後は

カテーテルという管を

膀胱に入れて

それで排尿などを行う。

手術による血の塊が

つまらないようにするとか

逆にカテーテルから

液体を入れて

流しやすくするとか

そういう意味があるらしい。

「人によっては

麻酔が切れたときに

尿道に入ったカテーテルの

痛みが辛いみたい。」

「先生から何か聞いた?」

「うん、さっき談話室で

話を聞いたよ。

まず、思ったより腫瘍の数が

多かったんだって。

だから今回入れる予定の

抗がん剤薬を入れてないって。

だから1か月後ぐらいに

もう一度TURBTで

抗がん剤を入れる必要がある。」

また、あの手術を1か月後に

受けるのか。と思いました。

「でね、腫瘍の中の

1つがちょっと

もしかしたら浸潤

してる可能性があるって。

それでね、」

このときすでに

妻の目には涙が

あふれていました。

「浸潤してるかどうかの検査は

1週間ぐらいかかるって。

で、もし浸潤してたら

膀胱を取らないといけないって。

その場合、人工管を入れるか

体の別の組織から膀胱を

作る手術が必要ですって。」

膀胱を取るとなると

ストーマと呼ばれる人工管か

小腸などの別の器官から膀胱を作る

という方法はいくつかある

ということは事前に

調べていたのである程度は

知っていました。

どちらの選択肢を選ぶにせよ

例えばスポーツとか食事とか

トイレの仕方とか旅行とか

全てにおいて日常生活が

変わってきます。

この時まだまだ37歳。

妻や子どももいて、

仕事も趣味もたくさん

やりたいことあるのに。

そんな事になっていたなんて。

さすがにこの時ばかりは

私も泣きました。

「でもまだ検査次第だから。

とりあえずは退院まで

頑張ろうね」

報告するのも辛いだろうって思います。

プロという視点

そして妻という視点

のダブルで人に

辛い報告をするのって。

カテーテルの痛み

幼稚園のお迎えがあるから

という理由で

夕方に妻は帰りました。

妻は今日も明日も仕事。

看護師として働き、

母親として子育てし、

妻として夫の支えをする。

この世で一番すごいのは

私の妻です。

妻が帰った後は

ただ一人でベッドに

横たわっていました。

基本的には頭も上げずに

じっとしていました。

両腕が使えたので

スマホや3DSなどで

時間をつぶしていました。

「クマガイさん、

〇〇の件、どうしますか?

すぐに返事が欲しいです。」

と会社の同僚からの

メール。

彼らには入院していることを

言ってないので

スマホで軽く返事をする。

それすらしんどい。

手しか動かせないことと、

精神的なことで。

その後夕食が出た。

何とかベッドの力で

頭だけは少し起こすことが

できました。

その時に初めて

自分の足元から管(カテーテル)

が出ているのを見ました。

右手には点滴も

まだつながったまま。

食事するのも必死です。

両手で口の近くに

お皿を持ってきて

食べるだけでも。

昨日の夜から何も食べてなかったので

空腹が満たされたのは

助かりました。

しかし、そのころから

麻酔が切れだして、

股間の痛みが

できていました。

カテーテルからの

排尿は自分の意思に

関係なく流れるみたいです。

いつ流れているのかも

分からないぐらいです。

だんだんとジンジンと

痛み出してきたときに

あまりにも耐えきれずに

初めてナースコールをしました。

「どうされました?」

「あの、すごく痛いです」

それが何の痛みか

分かりません。

汗が出るほど痛かったです。

麻酔が切れたことによる痛み

あるいは

カテーテルが入っていることの痛み

「何が原因なんだろ。」

と試行錯誤する看護師さん。

時間はすでに20時なので

夜勤の看護師さんだけで

対応しないといけないのかな、

と考えていると、

ブシューブシュー!

と水を流す音が聞こえます。

「うわー、すごい溜まってる。」

聞けば膀胱の中に

尿がたまっていて

500mlほどの

尿を強制排出したみたい。

その1時間後も再度痛みがあり、

次は250mlほど

出してもらいました。

痛み止めの薬も頂き、

とりあえず様子を見ることに。

こんな状態で寝れるのだろうか。

幸いにも昨日まで

隣にいた患者は

部屋を移ったらしく

イビキや咳で起きることは

ないと思いますが、

今度は痛みに悩みながら

寝ることになりそうです。

次パート

闘病記パート20「カテーテル交換」


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